第366章 白い紙

邪鬼の月の大雪が降り終えた後、赤水川は全西部で唯一通行可能な道路となった。

前回乗った小型帆船と比べると、「ライオンハート号」の方がずっと広大で、簡易キッチンさえも収容でき、航行中であろうとも、熱々の食事が楽しめる。

彼の寝室は当然、公爵が以前使用していた個室で、船尾にあり、海船の艉楼のようなもので、窓からは足元に流れる川と時折流れてくる氷山を見ることができる。

「おとな、お求めの卵スープです。」騎士が土鍋と陶磁器のボウルを彼の部屋に運んできた。

「お疲れ様」とペイロは頷き、「君も座って一杯飲んで、体を温めてみてはどうだろう」。

王子殿下が他の四大家族の騎士たちをすべて辺境の町へと収容し、身代金を受け付けないと明言して以来、貴族たちは最初に騎士たちの家族も一緒に向こうへと送り、空いた土地は新しい騎士を募集するか、あるいは略奪してしまった。

金銀花族だけは、この戦争でほとんど損害を受けず、反対に代わりに長歌砦を管理し、迅速に力を発揮し始めた。今では堂々と四大家族を抑え、また整備された騎士の隊を持っている。彼の側にいる騎士セスもその一員で、暁明光のように世間に知られてはいないものの、若い騎士の中ではすでに際立つ存在となっている。

「はい」と彼は笑い、鍋の蓋を取り除き、ペイロにスープを注いだ。「しかし……おとな、あなたのやっていることは本当によいのですか?」

「魔女のことを言っているのか?」

「ええ、教会は焼け落ちましたが、また新たに建てるのは難しいことではありません。いつの日か教会は西部に戻ってきます。全ての責任を第四王子に押し付ければ、彼らも何も言えないでしょう。しかし、あなたが市民の前で魔女を助け、更には教会の信者を逮捕されたことは……」騎士は一瞬ためらった。「これは公然と教会に対抗することを意味します。」

「再建築するのもそう難しくないというのであれば、なぜあの場所はまだ廃墟のままなのか?」ペイロは香り高い卵スープに息を吹きかけ、「教会はもう西境には戻らない」。

セスは瞬きをして、この結論を信じられないようだった。