第64章 剣先を向ける

小野陽子の小さな顔には決意が満ちていた。すべての責任を負う覚悟を決めていたが、事態がここまで来て彼女に負えるかどうかは別として、完全に子供じみた考えだった。北原秀次はクローゼットに手を伸ばして木刀の柄を握り、瞬時に目つきが鋭くなり、殺気が立ち始めた。

どんなに温厚な人間でも怒りはある。彼も例外ではなく、冬美に対して一歩も譲らない態度を見ればわかる。実は彼の心は広くなく、今の状況は冬美というカリフラワーとは全く違う——冬美は嫌われ者だが、外にいるクズどもは憎むべき存在だ!

彼には長期的な計画があったが、この時この場では譲歩する余地はなかった——理性は計画を担当するが、人を動かすのは結局感情なのだ。

彼はこのような面倒に巻き込まれたことを後悔していない。小野陽子を救ったのは本心からの行動で、自分の行動には自分で責任を取る。後悔することは何もなく、どんなことでも受け入れる覚悟がある。

彼は木刀を持って玄関へ向かい、不安そうな小野陽子に優しく微笑んで言った。「陽子、そんな馬鹿なことを言うな。今は譲歩しても無駄だ...百次郎と一緒に部屋で隠れていろ!」

「でもお兄さん...」小野陽子がまだ何か言おうとしたが、北原秀次に軽く押されて思わず部屋の中へよろめいた。慌てた彼女は立ち直るとすぐに携帯電話を取り出し、震える手でロックを解除しようとした。

北原秀次は彼女に安心させるような笑みを向け、何もしないように合図をした。振り返ると、その表情は凍りつくほど冷たくなっていた。前に出てドアを開け、力強く体を構えて入り口を塞ぎ、外を見て冷たい声で言った。「何のつもりだ、不法侵入するつもりか?」

すると彼の胸を誰かが強く押し、一歩後退を余儀なくされた。外にいた肉付きのいい中年男が入ってきた。見た目から太田続川の父親、太田建業だとわかった。彼は不遜な態度で、薄ら笑いを浮かべながら言った。「不法侵入とは何だ...」

彼の言葉が途中で途切れたのは、北原秀次が逆手で木刀を振り下ろし、彼の顔面を打ったからだ。「出て行け!」と怒鳴った。