第100章 通称鉄頭童子_2

この少年は、善意で人を助けるつもりが結果的に誤解を招き警察に連行されることを恐れている。それは、何となく安全策とも言える行動で、理解はできる。しかし、彼の視点から見ると、北原秀次の年齢で自ら前進する意識を持っているだけでなく、自分自身の生活を支えることができるだけでも立派だと思う。それに、それに加えて十歳の子供を育てることなど、全くの無茶ではないか。少年が子供を育てるなど?

「できるよ!」

北原秀次は、決心する前に前後左右を見渡し、安全策を練るタイプの人間だが、一方で全ての面を考慮した上で決心した時の断固とした態度は肌で感じるようで、その行動力を表現する言葉が見つからない。前に壁があろうとも、頭を使ってその壁に穴を開けることができるかどうかを試す。その情熱が決意を半ば強制する。であるからして、いったん決心したら、毫もためらわず、確固として答える。

彼は、陽子に対する義務は無い。警察や政府に任せれば、誰も文句を言えない。しかし、彼は関与することを選んだ。それどころか、予想される困難が彼の闘志を導いている!

何を怖がってるんだ、俺は大人だ。手も足もあるし、困難に耐えられないわけではない。一人の子供を養うことができないとでもいうのか?些細なことだ!

福泽直隆は言葉を失い、咳払いをしながら黙ってしまった。彼はここ数日、体調が極端に悪く、絶えず頭を痛めている。それでも北原秀次を喜んで助けることにしたのだから、本気で力を注いでいると言えるだろう。そして、北原秀次が若くても、その度胸と人格を見つめてきたのだから、素晴らしい少年だと言える。その勇猛さが、さらに彼の評価を高めた。そして、間違った人を助けてしまったとは思わなかった。北原秀次が「仰幕令愛が長い間」を言うと、彼は、大人であろうと子供であろうと、すぐにJR線に飛び乗り、北原秀次の「両親」がいる鳥取県へと急いで向かう。この結婚を先に調整してからだ。

信頼できる人格と大きな潜在能力を持つ女婿を塩漬けの卵一つで獲得するなんて、お得すぎる。家庭にとって何か利益があるとは言わないまでも、このような男性と一緒であれば、娘は一生を裕福で過ごすことはないかもしれないが、少なくとも食べ物の心配は無く、苦労をせずに安定した暮らしができるだろう。