第162章 君はいい人だね_2

鈴木希は笑みを浮かべながら言った。「私があなたの考えを変えさせてあげるわ」

北原秀次は眉をひそめた。この鈴木希は道理が通じず、節操もない。目的を達成するまで諦めない執念深さがある——他人の気持ちなど気にせず、自分の目的だけを追求する、それが非常に嫌な点だった。

金持ちの子供だからって好き勝手していいと思っているのか?彼は冬美と雪里に手招きをして言った。「行こう。彼女のことは無視しよう」

雪里はこういったことに関心がなく、今は自分のことで精一杯だった。おとなしく北原秀次の後ろについて行った。冬美は鈴木希を威嚇するように睨みつけながらついて行った——この鈴木希は一発で倒れそうなほど脆くて華奢に見える。本当に一発で病院送りにしてしまったら学校に記録されるのが怖かった。

彼女は重要なことに関しては分別があり、考えなしに行動するタイプではなかった。そうでなければ、食堂で初めて今の北原秀次に会った時、スープを一口飲むだけでなく、顎に一発パンチを食らわせていただろう。

三人がバス停に向かって歩き、鈴木希は後ろをついて来た。冬美は数歩歩いて振り返り、怒って言った。「なんでついて来るの?」

鈴木希は笑って答えた。「純味屋で食事をしたいの。どうしたの?あなたの店はお客様をお断りするの?」

「私たちは7時からしか営業してないのよ!」

「大丈夫よ、時間はたっぷりあるから」

冬美はまた怒りが込み上げてきたが、北原秀次が彼女の腕を引っ張り、焦らないように合図した——今は相手が彼らのことを知っているのに、彼らは相手のことを全く知らない。無謀な行動は取れない。とりあえずこのまま様子を見て、相手の正体を探ってから対策を立てよう。

女の子だということで一歩譲ったが、もしまた面倒を起こすなら容赦しないぞ。

北原秀次は冬美の心の中で威厳があった(彼女自身は認めたくないが、確かにそうだった)。内輪もめは内輪もめとして、このような外部に対する時は冬美も彼の指示に従い、こっそりと舌打ちをしてこの鈴木希のことは無視することにした。