第171章 良い夫の素質_3

彼女は北原秀次の腕の中で暖を取っていた。北原秀次は彼女を抱きしめていたが、手足は大人しく、決して乱暴な触り方はせず、ただ否定して言った。「僕の心はそれほど優しくないよ。でも、これからは悪い人になる練習をするかもしれない。この世の中、善人には良い結果が待っていないからね。」

今日は彼だったからこそ良かった。他の人だったら巻き込まれていただろう。まあ、腕に自信があったからこそだろう。自信がなければ、その場で地面に伏せて無実の市民を演じていたかもしれない。

鈴木希は彼の腕の中で頭を動かしながら、甘えた声で笑って言った。「やめてよ、善人には必ず良い報いがあるわ。あなたはこのまま善人でいてね!私、善人が好きなの!」

彼女が演技と甘えを楽しんでいる最中、北原秀次は静かに彼女を後ろに引き寄せ、フラッシュライトを消して地面から長いナイフを拾い上げ、通路の来た方向に向けて構えた。

鈴木希は背後から彼に抱きつき、いつでも彼の背中に乗って逃げられるように準備しながら、小声で笑って尋ねた。「誰か追いかけてきたの?」

「二人だけだ。黙っていろ。近づいてきたら殺してから行く。」北原秀次は少し感心した。相手は本当に彼らが下水道に逃げ込むと予測し、さらにトンネル内で運任せに探しているようだった。本当に執念深い。

しかしすぐに彼の掲げていた刀がゆっくりと下がっていった。この足音は...小ロブヘッドのようだ?でも確信は持てない。あのカリフラワーが真夜中にここに来るはずがないだろう?

しばらくすると、より明確に聞こえてきた。「...道は合っているの?この通路で間違いない?」確かにあのカリフラワーの荒々しい声に似ている。

「間違いないはずよ。秀次はこっちに行ったわ。血の匂い、鶏肉の香り、魚の生臭い匂い、あ、これは死んだネズミの臭い、これは秀次じゃないわ...」

「じゃあどうしてまだ見つからないの?彼は何を考えて真夜中に下水道を走り回ってるの?バカみたいに道に迷ったの?」

北原秀次はついに確信した。本当に小ロブヘッドと雪里だった。すぐに遠くから声をかけた。「雪里、福沢同学、君たちか?こっちだよ!」

通路は一瞬静かになり、しばらくして角から光線が揺れ始め、続いて雪里の嬉しそうな声が聞こえた。「見つけたわ。」