163章 神血獣魂ハンマー

「これで神天子たちは大変だぞ、おそらく全軍が壊滅してしまうかもしれない、神の血狐王の仕業が本当に素晴らしい!」とハンセンは心の中でほくそ笑んでいた。山谷の外で待機していて、もしも神天子が奇跡的に中で死ななかったとしたら、彼に突っ込んでさらに一刀の見舞いをするつもりだ。

彼は神天子を仕留めるつもりだったのだが、そのチャンスはずっと訪れなかった。神天子自身の実力が強すぎる上、周りには常に強者がいたため、なかなかチャンスが訪れなかった。

こんなにいい機会がなかなかないから、ハンセンはもちろん見逃すわけにはいかない。

神天子とその仲間たちがすぐに淡金色の虫に取り囲まれてしまって、虫があまりにも多くて、避けることが出来ない。

「外に突出しろ」と神天子は歯を食いしばって外に突出した。

一団の人々が、足元の淡金色の虫を踏みつけて外に突出する。その虫はハンセンが想像していた以上に弱く、彼らが一踏みするだけでたくさんの虫が死んでしまった。

しかし、その虫たちは本当に多すぎて、彼らが大量に踏み死にさせる一方で、多くの虫が彼らの身体に這い上がり、服の中に詰め込まれて行った。

「ああ!」と悲鳴があちらこちらで上がり、ハンセンは背筋がゾクゾクしながらも何とも快感だった。その一団の人間たちはとっくに死んでいてもおかしくなかった。

「君たちは私の後についてこい」と、その強者谷大哥は大声で叫び、手に握った大鎚を振り回して、虫とともに砂を直接大量に打ち飛ばし、硬いままで幅が2メートル以上、長さが3メートル以上の砂溝を作り出した。

強者はビッグハンマーを振り回しながら前へ進み、前方の砂と虫を散らかせば散らかすほど、彼の活路が次々と出現した。

神天子たちは強者の後を追い、まさかの山谷の外に向けて突出することができた。

「くそ、一体あの強者は誰なんだ、神天子が殺されないって何だよ!」とハンセンは心中で不快感を感じていた。

神天子たちは山谷から突破して出てきたが、何故か淡金色の虫たちは追ってこなかった。全ての死体を飲み込んだ後、再びゆっくりと砂の下に這い戻った。

始まってから二、三十分も経たないうちに、山谷の中は再び静けさを取り戻し、血の滴りさえ残らなかった。まるで何も起こらなかったかのようだ。