第225章 鉄が鋼にならぬことを恨む

半年の大試験が始まった。

ハンセンたちのグループがテスト場へ出る順番が回ってきたとき、すでにテストの終わった生徒やまだ待ち時間中の生徒たちの多くが、ハンセンのテストを見ようと一緒に詰め掛けていた。

「大神戦鎧とブラックアンドホワイトボクシングはともに驚異的だけど、彼の弓術はどうなのだろうか」

「大神が本来弓術系だからね。弓術は彼の得意分野だから、それが間違ってるわけないでしょう?」

「きっと更にすごいんだろうな」

「言わなくても、テストの最高得点者になるのは確定だよ」

……

生徒たちの議論は司徒香(スイトウコウ)を少々イラつかせる。彼ら全員がハンセンが高得点を獲得することを確定事項と見ている。

「どうやらハンセン君は大変な人気者のようですね」と監督教師の劉東が笑いながら話す。

しかし、司徒香は蔑んで言う。「人気があるからといって結果が出せるわけではない。彼の採点結果を見てみなければ、どれだけの生徒が彼を賞讃するだろうか」

劉東は少々驚きながら司徒香を見た。ハンセンのようなスター生徒だと通常はどれだけ人気があるかと思うが、司徒香というコーチの態度を見ると、彼がハンセンをあまり気に入っていないようだった。

「ハンセン君の弓術の成績はそれほどもないのですか?」と劉東は少し疑問に思い尋ねた。

「まあまあね。普段、彼にはあまり練習をさせていない」と司徒香は何気無く言った。

二人が話し合っている最中に、ハンセンの順番が回ってきた。彼が固定的に矢を10本射出すると、それぞれがまっすぐに的の真ん中に命中し、一本も外れることはなかった。

劉東の目が飛び出そうだ。「司徒コーチ、これが『まあまあ』って?あなたは本当に控え目ですね」

劉東は、司徒香が前に言ったことは全て丁寧な言葉だったと思い込んでいた。このレベルの弓術ならば、採点は間違いなくSランクだ。

司徒香もちょっと驚いた。ハンセンの技術はただ矢を撃つだけでなく、射出速度も速すぎる。

「大神はさすが大神だ。本当にすごい」

「その10連射は速すぎて、ほぼ同時に射出されたかのようだ」

「今回の半年の大試験で、大神は絶対にSランクの総合評価を得ることができるだろう」

……