474章 図り知れない困難

一つ一つの楕円形の寄生クリスタルコアが跳ね返る玉のように、速くハンセンと紀嬿然の方へ跳び寄ってきた。その数はどんどん増え、ハンセンと紀嬿然は頭皮がぞわぞわした。

「早く逃げろ。」ほとんど迷うことなく、ハンセンは紀嬿然を引っ張ってクリスタルコア庫の出口ドアに向かって走った。寄生クリスタルコアは爆破することができるが、一群の寄生クリスタルコアはまるで洪水の獰猛な獣のようで、触れただけで寄生されてしまう。それはハンセンでさえ防ぐことは不可能だ。

二人はクリスタルコア庫から突出し、体ひとつ分以上の高さのトンネルを必死で走った。後ろからは寄生クリスタルコアが津波のように追いかけてきた。視界に入るのは跳ね回るピンク色のクリスタルばかりで、その速度は極めて速い。

「くそ、これらの寄生クリスタルコアはどこから出てきたんだ? なぜ我々が入ったときには見えなかったんだ?」と、ハンセンの心はミニミニと憂鬱になった。

現在、彼らは結晶王種族の遺跡のコアエリア内にいる。ただ頭が無いままに逃げ回るなど、どう死ぬかもわからずにおわるだろう。

しかし、後ろから群れをなす寄生クリスタルコアを見れば、逃げなければ死の道しかないため、ハンセンは立ち止まることができない。

幸いにも、一番前で道探しをしている雪の牙狼のマウントがいるので、ハンセンは少し心を落ちつけることができた。

バン!

最前列で走っていた雪の牙狼は、突然トンネルの中で現れた光束によって二つに切られ、重々しく地面に落ち、次には散り散りに破壊されてしまった。

「マジックキューブガーディアンだ!」ハンセンは前方の交差路に現れた十二段階の魔方を見て、顔色が一変した。

「こっちへ来て。」紀嬿然が先に一つの分岐路へと走り込み、ハンセンも続いた。

しかし、後ろから追ってきた寄生クリスタルコアとマジックキューブガーディアンは引き返すつもりが一切なく、彼らも追いかけてきた。

二人が何回か曲がった後、急に前方が行き止まりで他に行く道がないことに気づいた。

「やるしかない。」ハンセンは命がけの時が来たことを分かって、レーザーガンを引き抜き、突進してくる寄生クリスタルコアに向かって一斉射撃を始めた。