054帝师、白蔹の真の実力_2

紙にはたった四つの文字が書かれていた――

【蔹蔓帝家】

それは、彼女が初めて自己紹介をしたときの言葉だ。

たとえごく普通の黒ペンを使っていても、一文字一文字が深く刻み込まれ、力強さが紙背を突き抜けている。字のふくらみや曲直の動きに満ち満ちた生命力を感じさせ、紙越しにしても一斉に突進する馬の勢いを感じる。

これほど磅礴たる意味を込めて書き出すには、どれほどの体験が必要なのだろうか?

前回、陳ジュが来たとき、彼は任晚萱の文字にあまり満足していなかった。

当時の校長は理解できずにいたが、このときようやく、陳ジュが任晚萱の文字を理解できなかった理由を少しだけ理解することができた。

それは、さらに素晴らしいものを見たからだ。

確かに、任晚萱の文字には、本物の戦いの経験が少し欠けていた。

「陸先生」と校長は陸鈴犀の手から紙を引き抜いて呟いた。「私はあなたの言葉が正しいと思います、この謝罪は必ずしも行わなければならないわけではない、私はすぐに写真家に連絡を取るつもりです」

言って、校長は紙をポケットに突っ込んで急いで去った。

後ろにいた陸鈴犀は「……」

??

ちょっ、彼女は全部読んだのか?

**

午後の最後の授業。

クラス会の時間。

陸鈴犀は教案とノートを持って教室に入り、視線を白蔹に向ける。彼女はすでにきちんと制服を着て、首を下げて試験用紙を見ている。静かで美しい猫のようで、全身からは神秘的な香りが漂っている。

まるで迷いと困難から必死に抜け出そうとしている囚人のようでもある。

陸鈴犀は教室の誰もが見えるが、唯一見えないのが白蔹だ。

彼女は勤勉で学ぶことが好きで、クラスの中で最も努力家だ。しかし、時折まるで世界から一歩引いて、旁観者のような視点で全てを見つめるかのように静かだ。

「ライシュウには月試験がやってくる」と陸鈴犀はノートをテーブルに置き、学生たちの悲鳴を無視する。「一期がすぐに終わる。頑張るべきは頑張らなければ……つまりあなたのことだ、張世澤!」

張世澤は自分が顔をテーブルの下に埋めていても、陸鈴犀に名指しされてしまうとは思っていなかった。

彼はただうっとうしそうに頷いただけだった。

クラス会が終わると、陸鈴犀は再び白蔹を呼びだした。

明日昼に撮影を行うと告げた。