第19章 夏若雪があなたに会いたがっている!

……

夜の十時。

孫怡は今回車を使わず、大都マンションまで歩いて帰った。

冷たい風が頬を撫でるままにして、頭を冷やそうとした。

今日起きた出来事で、彼女の心はまるでジェットコースターのようだった。

あの見下していた男が、何の気なしに100億円の価値がある薬方を自分にくれたなんて。

葉辰は朝、この薬方一枚で上場企業一社を養えると言っていたが、当時の彼女はせせら笑い、葉辰を大言壮語を吐く男だと思い、とても可笑しく感じた。

しかし今振り返ってみると、可笑しいのは自分の方だった!

「葉誠、わざと私を恥をかかせようとしたの?なぜこんな貴重なものを私にくれたの?なぜこれが本物だと教えてくれなかったの……」

孫怡はマンションの入り口まで来たが、鍵を取り出しても、開ける勇気が出なかった。