第44章 蛇蠍の女!_1

ジャンチャン第五人民病院。

孫怡は外から窓越しに重症患者の弟を見て、心情が異常に複雑だ。

昼になって、父からの電話が掛かってきて、弟の病状が悪化したとのこと。心臓がドキッとした。普通に数値がおかしいだけだと思っていたのに、病院に着くと、すぐに手術しなければならないと言われ、手術費は驚くべき70万だった。

70万は彼女にとっては手の届かない金額だ。

確かに彼女はワメイグループの社説であるが、給料から住宅ローンと弟の常年の医療費を引くと、実際にはそれほど多くは残っていない。

30万の貯金は、自分の持参金だった。

今は弟の病状のため、この30万を出すことを快く思っているし、車を売っても足りないのだ。

しかたなく、彼女は二番目の叔父、孙永福に電話をかけるしかなかった。孙永福は近年、ジャンチャンで木材加工を営んでおり、かなりの金を稼いでいる。ベンツの豪華車と150平米の家を買った孫永福は、ジャンチャンで成功を収め、孫家で最も裕福な存在と言える。

本当は彼に電話をかけたくはない。なぜなら、その叔父一家が彼女を見る目には不快感があるからだ。まるで自分が高い位置にいるかのように見下している。それでも他に頼るところがないのなら、他の人に借りる方がましだ。

しばらくして、孫怡の父親、孙永贵が孙永福一家を連れてこの方に歩いてきた。

歩きながら頭を下げて腰を曲げて言った。「お前たちが来てくれるなんて、本当に我が家の浩哲の運が良かったよ。ああ、私が前世で何を借りたのかわからないけど、なぜ神がこんな目に遭わせるんだろう……今、唯一の希望は浩哲が困難を乗り越えることだ……」

病室の外に来ると、孫永貴はすぐに娘の孫怡に声をかけた。「小怡、まだ二伯と二伯母、瑶瑶に挨拶していないわよ!」

孫怡は微笑み、目角の涙を拭いて言った。「二伯、二伯母、小倩……こんな時に助けてくれて、本当にありがとうございます……」

孫永福は孫怡を一目見て少し驚愕した。彼は想像していなかった、孫永貴という真面目な人がこんなに美しい娘を持つなんて。もしこの娘が豊かな家に嫁ぐなら、孫永貴一家の運命は変わるだろう。