1分後、二人は地下駐車場に着き、すぐにビートルに乗り込んだ。
夜だからか、道路にはほとんど車が走っていなかった。
車内は静かで、カーステレオの音だけが微かに響いていた。
突然、孫怡はカーステレオの音を消し、ハンドルを操作しながら声を出した。「一つ質問してもいい?」
「うん」
「ずっと気になっていたんだけど、どうしてこんなに私を助けてくれるの?なぜ?前回の華美グループでの一件で、私が助けたからなの?」
「正直に言うと、何度も何気なく、あなたが私を見る目に感謝の色が浮かんでいるのに気付いて...本当に不思議に思っていたの」
葉辰は少し驚き、何かを思い出したように独り言を言った。「明日になれば分かるよ」
明日?
孫怡は少し驚き、何かを思い出したようだったが、確信が持てないでいた。
「バカだな、明日は月曜日だろう?発表事項は月曜日にするものじゃないか?」
「そうね。でも、あなたがいてくれて本当に良かった。とても安心できるの、本当に」
「私は実は今まであまり安心感を持てなかったけど、今日はあなたのおかげで安心感を感じられた...」
孫怡は話しながら、わざと横目で葉辰の反応を窺っていた。
葉辰は微笑んで何か言おうとしたが、突然表情が変わり、顔に冷たい殺気が漂い始めた。
これは今まで見せたことのない殺気だった。
孫怡は車内の温度が急激に下がったのを感じ、思わず震えた。
彼女は葉辰を見て言った。「寒くない?気温が下がったのかしら...でもそんなはずないわ...」
葉辰は彼女に答えなかった。
車がカーブを曲がる時、葉辰の冷たい声が響いた。「孫怡、路肩に停めろ」
孫怡が反応できないでいると、葉辰は再度繰り返した。「早く停車しろ!」
「はい...」
孫怡が急ブレーキを踏み、車がまだゆっくりと動いている時に、葉辰は孫怡の手を掴んだ。
「これから言うことをよく聞いてくれ。遮らずに、私の言う通りにしてくれ。君を害することはしない」
孫怡は何故か背筋が寒くなるのを感じた。葉辰の目を見ると、今まで見たことのない真剣さと冷たさが宿っていた。
いつもふざけた表情をしている葉辰とは全く違う!
まるで地獄から来た血に飢えた悪魔のようだった!
「分かった」