午前1時、大都マンション付近は真っ暗だった。
葉辰は適当な夜食屋台で少し食事をし、お酒を飲んだ。
今日楚淑然に会って、また5年前のことを思い出してしまった。
もし楚淑然が男だったら、彼は帰ってきて殺していただろう。
問題は相手が女だということだ。
しかし、もし夏家がこの件に関わっていたことが分かれば、容赦なく夏家を潰すつもりだ。
楚淑然については、記憶の中では、彼女は雲湖山荘には現れていなかった。
そしてその時、彼女は高校生に過ぎなかった。どうして両親に手を出すような考えを持つはずがあろうか?
酒を飲み終わると、葉辰は大都マンションへと向かった。
先ほど11時過ぎに孫怡から電話があり、今夜帰って寝るかどうか尋ねられた。
葉辰は孫怡が自分を待っているのだと思い、今日は帰らないと嘘をつき、早く寝るように言った。
この時間なら、孫怡はもう寝ているだろう。
葉辰はそっとマンションのドアを開け、少し洗面所で身支度を整えてから、自分の部屋に戻った。
布団に入った時、彼の体は固まり、少し硬直した。
なぜなら、自分の隣に誰かが寝ているのを発見したからだ!
しかもそれは女性だった。
葉辰は苦笑いしながら、先ほどの出来事で孫怡がまだ怖がっているから、自分の部屋で待っていたのだろうと思った。
それ以上は深く考えなかった。
……
一夜が過ぎた。
翌日、朝7時。
「あっ!」
部屋中に響き渡るような悲鳴に、葉辰は眉をひそめながら、ゆっくりと目を開けた。
次の瞬間、黒い影が彼の頬めがけて手を振り下ろしてきた!
葉辰は本能的に相手の手を掴み、真気で相手の手首を折ろうとした瞬間、視界がはっきりとした。
彼は冷艶な少女を目にした。冷たい瞳に殺意の色が混じっていた。
相手の髪は少し乱れており、明らかに目覚めて間もない様子だった。
問題は相手の上半身がだらしない寝巻き一枚だけだということだ。
おかしい、この体つきは明らかに孫怡のものではない。孫怡の方がもっと良い体型のはずだ。
彼は再び視線をその少女の顔に向けた。
その絶世の美貌に。
次の瞬間、葉辰は凍りついた!
相手は孫怡どころか、華美グループの社長、夏若雪だった!
一体どういうことだ?
「葉辰、この畜生!なぜあなたが私の部屋にいるの!!」夏若雪の極めて冷たい声が部屋中に響き渡った。