千禧ホテルの五階、監視室。
監視を管理する三人の警備員が床に倒れていた。
蔣文林は足を組んで座り、手に慎重に箱を持っていた。その箱の中には、薬の香りが強い丹薬が一つ収められていた。
「今日は思わぬ収穫があったな。この丹薬の香りは極めて純正で、我が蔣家が所蔵している丹薬とは全く異なる。面白い……」
蔣文林の傍らにいた老人も声を上げた。「若様、この丹紋から判断すると、この丹薬は十日以内に精製されたものだと思われます。」
「ほう?金家はどこからこんなものを手に入れたのだろうか。金家のあの老狐がこんな良い丹薬を競売に出すとは。もしや金家は何か丹薬のルートを掌握したのか?」蔣文林は呟いた。
老人は続けた。「若様のおっしゃる可能性は非常に高いです。金冷雁という人物は女性ではありますが、実力も謀略も金家の他の者より優れています。金家が彼女を表に立てたのには理由があるはずです。もし金家が今回本当に丹薬の供給源を掌握したのなら、間違いなく蔣家を大きく引き離すことになるでしょう。」
蔣文林の瞳に冷たい光が宿り、監視カメラを確認している男に向かって尋ねた。「私が調べるように言ったことの結果は出たか?」
男は頷き、手元のタブレットにコピーしたファイルを蔣文林に渡した。
タブレットには三つの画面が表示されていた。
葉辰が初めて金冷雁のスイートルームに入る場面。
葉辰がオークション中に再び金冷雁のスイートルームに入る場面。
葉辰がついさっきスイートルームを出る場面。
男は続けて言った。「若様、ホテルの監視カメラによると、この男が我々の百草鼎を奪った犯人で、丹薬もおそらく彼から出たものだと思われます。」
蔣文林は即座に立ち上がり、殺意と熱気を帯びた目で言った。「なに!すべてこいつの仕業だと?確かか?」
男は躊躇いながらも答えた。「百草鼎と丹薬は金家にとって重大事項ですから、金冷雁が直接関与しているはずです。監視カメラを確認したところ、今日金冷雁が会ったのはこの男だけでした。そのため、この男が最も疑わしいと思われます。」
蔣文林は画面に映る葉辰を冷笑しながら見つめた。「我が蔣家の物に手を出すとは、死という字の書き方も知らないようだな!」
「行くぞ、このガキに会って、何の根拠があって我が蔣家の物に手を出したのか聞いてやる!」