二人がさらに進もうとしたその時、葉辰の携帯が鳴り出した。
葉辰は指を凝らし、真気を放って携帯を完全に壊してしまった。煙が立ち上がり、完全に使い物にならなくなった。
数秒後、テーブルの上にある孫怡の携帯も鳴り出した!
葉辰の心の中で万匹の草泥馬が駆け抜けた!
一体誰がこんな大事な時に電話してきたんだ?もう参ったな!
孫怡が電話に出ようとした時、葉辰は低い声で言った:「出なくていい」
彼が真気で孫怡の携帯も壊そうとした時、孫怡は笑って言った:「大丈夫よ、私は逃げないわ。そんなに焦らなくても。私たち二人の携帯が鳴ったってことは、何か重要なことがあるはずよ。ちょっと出てみるわ」
葉辰は頷いて手を放し、孫怡は立ち上がってテーブルの携帯を取り、画面を見て葉辰に言った:「沈海華からよ」
そして電話に出た:「沈社長、どうしました?」
三秒後、孫怡の表情が急変し、電話を切って服を一枚羽織りながら葉辰に言った:「葉辰、大変!天正グループで大事が起きたわ!急いで!」
声は切迫していた。
葉辰はもう躊躇わず、服を着て、壊れた携帯からSIMカードを取り出して予備機に入れ替え、孫怡と共に地下駐車場へ向かった。
……
二十分後、天正グループの会議室。
ドアが開き、孫怡と葉辰が飛び込んできた。
「葉様……」
沈海華は葉辰を見て、顔色が青ざめた。
彼は自分が必ず葉辰の怒りを買うことを知っていた!
しかし、どうあろうと受け入れるしかなかった。
孫怡は席に着き、葉辰は最前列に立って沈海華を見つめ、問いただした:「一体何が起きた!説明しろ!」
沈海華は数歳老けたように見え、説明を始めた:「葉様、夜八時に天正グループに何者かが強行侵入し、警備していた強者たちが皆殺しにされ、さらに重要な薬方も盗まれました!重要な情報が全て消えてしまいました!」
葉辰の瞳が鋭く光った:「ありえない」
彼は薬方の情報が保管されている金庫に禁制を設置し、幾重もの防犯対策を施していた。鍵と彼の許可なしには、決して盗めるはずがなかった!
グループ内でアクセスできる人間は数人の中核メンバーだけだった。
突然、葉辰の冷たい視線が横の空席に向けられた。
それは呂沢文の席だった!