第192章 命を取りに!(5更新お届け!)

この言葉を聞いて、爆発寸前だった鐘偉山は突然凍りついた!

彼の瞳は血走っていた!

そして次第に赤くなっていった!

死んでも、唐元軒という名前を忘れることはできないからだ!

もしあの畜生がいなければ、息子と嫁は死ななかったはずだ!

自分も今のような境遇に落ちることはなかった!

幸せだった家庭が、唐家のあの畜生によって台無しにされた!

息子はまだ二十七歳だったのに!

これからの人生には大きな可能性があったのに!

嫁は息子と三年間付き合って、やっと結ばれたというのに!

一年後には、孫を抱けたかもしれないのに!

しかし、それら全てがあの畜生によって破壊された!

彼は怒り、咆哮した!

唐家の前では無力だった!

彼の抵抗など何の意味があったのか!

しかし今、目の前の男が唐元軒を殺してくれると言うのか?

しかも首を持ってくると!

そんなことがあり得るのか!

この若者は、唐元軒の父親が江南省の名高い唐傲だということを知らないのか!

江南省武道協会会長!

華夏宗師ランキング189位!

江南省で誰が敢えて手を出せるというのか!

「帰りなさい」鐘偉山は首を振った。もう少しで信じるところだった。

その時、葉辰は振り向き、雰囲気が一変し、体から凄まじい殺気が立ち昇った!

その瞳は地獄の深淵のようだった!

まるで万物の上に君臨し、衆生を見下ろすような威厳を放っていた。

これこそが葉辰の本性だった。

「鐘偉山、もう一度聞く!私が唐元軒の首を持ってきたら、雲湖山荘のことを全て話してくれるか!どうだ!」

その声は轟く雷鳴のように、鐘偉山の魂の奥底まで響き渡った!

鐘偉山は体を震わせ、あやうく地面に膝をつきそうになった。血走った目で葉辰をじっと見つめ、言った。「唐元軒さえ死んでくれれば、何でもする!」

「よかろう」

扉が開き、葉辰の姿は完全に消えた。

密室には鐘偉山だけが呆然と立ち尽くし、心臓がドクドクと鳴り響いていた。

……

夜は墨のように黒かった。

冷たい風が死神の足音のように吹き荒れていた!

江南省華泰ホテル、2203号室。

部屋の外には、鋭い眼光を持つ老人が立っていた。

老人の名は唐海沈、唐家の武道の達人で、華夏宗師ランキング251位!若様の唐元軒の安全を担当していた。