少女はポケットから一枚の写真を取り出し、向かってくる中年男性に手を振って言った。「あなた……そう、あなたです。ちょっと来てください。お姉さん、聞きたいことがあるの」
眼鏡をかけた中年男性は少し戸惑ったが、相手が子供で、しかも夜だったので、道に迷ったのかもしれないと思い、深く考えずに興味深そうに尋ねた。「お嬢ちゃん、道に迷ったの?」
少女は首を振り、写真の人物を指さして尋ねた。「この写真の人を見かけたことありますか?」
もし葉辰がここにいたら、写真の青年が自分だと気づいただろう!
中年男性は写真の男性を一目見て、首を振りながら言った。「申し訳ありませんが、私は地元の人間ではないので、他の人に聞いてみてください」
少女の瞳に失望の色が浮かんだが、突然、何かを察知したように、その姿が一瞬にして残像となって消えた!