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その時、崑崙虚では、壮大な大殿が山頂に聳え立っていた。
雲霧が漂い、まるで仙境のようだった。
一人の白衣の少女が山頂に立っていた。少女は白いドレスを纏い、薄い青色のベールを身に付けていた。
絶世の美しさで、この世のものとは思えなかった。
少女は崑崙虚で十大天才の一人と称される紀思清だった。
天の寵児であり、その実力は無数の強者を圧倒していた!
そして彼女の傍らには、奔放な紀霖が立っていた。
紀霖は瞳が輝き、人を魅了する気韻を持っていた。
突然、紀思清が口を開いた:「今回外出して、葉辰に会ったの?」
紀霖は頷き、口の中でガムを噛みながら、大きな風船を膨らませた。
「姉さん、私には分からないわ。この葉辰のどこがいいの?実力はゴミで、凡根の廃脈なのに、なぜそんなに気にかけるの?まさか好きなの?でもそれはありえないでしょう。崑崙虚で姉さんを追いかける天才たちの中から誰を選んでも、この葉辰なんか簡単に踏みつぶせるのに……」