038 天災の魔法使い_2

「人間であろうと、エルフであろうと、ドルイドであろうと、私たちは現在、なかなか快適な暮らしを送っている。つまり、都市国家という形態はそれなりに良いものだと思う。お互いに邪魔をしないで済む。だから、どうして絶対に王国を組織しなければならないのか?」

マシューはすぐには返答しなかった。

彼はレイガを見つめた。

そして彼は、その表情も非常に真剣で、早々に口を開いた。

「社会組織の形態を見れば、より多くの都市国家の資源を同時に管理できる王国は、独立した都市国家よりも進んでおり、リスクに対する耐性も強大さも優れている存在であると断言できます。異世界の国々を旅したことがありますが、その多くは我々よりも進んでいます。単純で直接的な例を出すなら、複数の都市国家から成る王国が独立した都市国家に宣戦布告した場合、後者はほぼ間違いなく敗北するでしょう」

マシューは同意の意を示すように頷いた。

「人が多い方が力も大きい、ということくらい我々も知っています。

社会性の生物として、もっと多くの人間をスムーズに組織化する形態は、一人で戦う状態よりも悪いはずがありません。

実際、単一の都市国家から複数の都市国家の連合体への転換は、歴史的な進展の必然性と言えます――

これは他の次元や世界の進展を見れば証明されます。そういった資料はそれほど多くはありませんが、七聖連盟はそれなりに集めています」

シーバは疑問を口にした。

「それなら、なぜ今までに大陸に王国が誕生していないのでしょう?神々は既に追放されたはずでは?」

マシューは重々しく言った。

「これから話すこと、あなたたちは今日聞いてすぐに忘れるかもしれません。でも、忘れてしまうことが真実が存在しないことを意味するわけではありません」

「我々は皆知っています。四百七十年前、七聖連盟の創設者、その偉大な存在の名前を今でも誰も知らない――我々は通常、彼女を人類の歴史上初めてであり唯一の「天災の魔法使い」と尊称しています。彼女は神々の停滞と全生物への奴隷化に憤り、歴史上最も素晴らしい魔法使いのパフォーマンス――「天倫宮昇る典」を立案し、執行しました」

天倫宮昇る典の前に。

我らの世界は神々の口から「啓蒙時代」と呼ばれる時代にすでに二千年も留まっていた。