149 誰もが死霊魔道士ほど生者に気を使っていない_2

然後、感慨深くアビンを見つめて言った。

「あなたの召喚物は本当に凄い。さっき数えてみたら、俺と一緒に合わせて38匹の狼を仕留めたんだ。」

マシューはスコアをチェックした。

アビンは34匹を倒した。

レイガは4匹だった。

合わせて倒したと言っても何の問題もない。

「あなたの挑発能力も優れているようだ。」

まあ、領主さまが少し力を貸してくれたので、マシューも褒めてやった。

しかし、思わずレイガは戸惑って言った。

「俺、まだ挑発の能力使ってないよ!」

マシューはすぐに言葉を失った。

レイガは独り言のように言った。

「いずれにせよ、この狼たちは何かおかしいね。」

マシューは頷いた。

「確かに、あまりにも暴れ気味で愚かすぎる。これは正常な山狼の特性に反する。恐らく枯れる者たちの儀式によって理性を失ったんだと思う。」

レイガは首を振った。

「それじゃないんだ。」

「気づいてないのか?」

「この狼たちは全員、メスなんだよ。」

驚いたマシューは狼たちの死体を見に行き、レイガの言った通り、殺された38匹の狼の中にオスは一匹もいなかった!

大きな狼のリーダーも含めて。

これは非常に珍しい現象だ!

「どうして気づいたんだ?」

マシューは驚いてレイガを見た。

レイガは少し得意げに鼻を摘んだ。

「ただ昔のアドベンチャラーたちの経験を活かしてるだけさ。」

「まだまだ学ぶことがあるぞ、若造!」

マシューは口元をきゅっと結んで、何も言わずにとうねんしていた。

彼は、枯れる者たちがオスの狼たちを何処に連れて行ったのかを考えていた。

「私たちは進み続けるのか?」

少し後。

レイガは、少し離れたところで舞う雪を真剣な表情で見つめていた。

マシューはぽつりと言った。

「もうすぐ枯れる者たちの領土に入る。僕はまず何人か小さな従者を召喚するつもりだ。不詳の木の近くの雪も厚すぎる。少し待ってみて、すこしは晴れるかもしれない。」

レイガが注意を促した。

「その前に、この死体たちを早急に処理しなければならない。」

「さもなければ、その新鮮な血がさらに多くの怪物を引き寄せてしまうだろう」