第62章 誰のことを売女って呼んでるの?

秦玉は舞踏会など気にしていなかった。ただ顔若雪に会いたかっただけだ。

夜になった。

京都ナンバーのベントレーが玄関に停まった。

顔若雪は窓を下ろし、秦玉に手を振った。

秦玉は急いで小走りで車の前まで来た。

「乗って」顔若雪は目を瞬かせた。

秦玉は車に乗り込み、顔若雪の隣に座った。

暑さのせいか、顔若雪の頬は薄紅く染まり、月明かりの下でより一層魅力的に見えた。

秦玉はそのまま顔若雪を見つめ続け、その姿に見とれてしまった。

「見飽きた?」顔若雪は手を伸ばして秦玉の頭を軽く叩いた。

秦玉はようやく我に返り、照れくさそうに鼻を擦った。

「いい知らせがあるわ」顔若雪が言った。

「どんな知らせ?」秦玉は急いで尋ねた。

顔若雪は笑いながら言った。「最近、沈家の製品は楚州での市場シェアが下がり続けていて、わずか数日で10パーセント近く下落したわ」