秦玉は説明のしようがなかったが、この邱峰から自分に向けられた殺意をはっきりと感じ取っていた。
「まあまあ、最近ストレスが溜まっているんじゃないか。気にしすぎるな」魏江は秦玉の肩を叩いた。
秦玉は頷いただけで、それ以上は何も言わなかった。
その後、秦玉は会場内で原石を選び続けた。
しかし何度か見て回っても、手を出す価値のある石は見つからず、脇へと移動した。
この会場にとって、賭石は一部に過ぎず、会場全体には高価な希少薬材が豊富に並んでいた。
秦玉は一目で、数十年物の薬効を持つ薬材を何株も見つけた。
残念ながら、これらの薬材は途方もなく高価で、一株でも数千万、あるいは数億という値段がついていた。
「マジで馬鹿げている」秦玉でさえ、思わず舌打ちした。
大世家の子弟たちの実力が一般人を遥かに超えているのも無理はない。
大世家には豊富な資源があり、だからこそ実力の進展も極めて速い。
そして実力が強ければ、より多くの金を稼ぐことができる。
まさに悪循環だ。
「貧乏人は変異に頼るしかない、という言葉は伊達じゃないな」秦玉は苦笑を重ねた。
しばらくすると、秦玉の所持金はほぼ底をついた。
彼は数十年物の薬材を四、五株手に提げ、財布の中身は文無しになっていた。
秦玉が帰ろうとした時、突然極めて濃密な陰気を感じ取った。
この陰気が噴出した瞬間、秦玉の目は素早くその方向を捉えた。
秦玉以外にも、近くにいた邱峰もほぼ同時にその方向を見た。
二人の視線が、瞬時に交差した。
その眼差しには、同時に鋭い光が宿っていた!
この邱峰は、間違いなく怪しい!
秦玉は大股でその露店に向かって歩いていった。
その露店の前には、一体の石像が置かれていた。
そしてその濃密な陰気は、この石像から放たれていたのだ。
秦玉はその石像を指さして言った。「店主さん、これはいくらですか?」
店主は顔も上げずに言った。「二億だ。値引きなし」
「店主さん、その価格は少し法外すぎませんか」秦玉は眉をひそめた。
この石像に漂っているのが霊気なら、この価格も理解できる。
しかし陰気の場合、需要は極めて限られている。
一般人は陰気を避けるのに必死なのに、誰が高額で購入するだろうか?