210章 江家が服従_1

シンギョクは再度気を失った、まるで幸せに頭がくらくらするように。

ゲンジャクセツは一瞬、立ち去るのが耐えられなかった。

彼女はシンギョクのそばに留まりたかった。

だが彼女がそこに留まるならば、シンギョクの成長はほぼゼロになってしまうだろう。

「お嬢さん、本当に出発すべきですよ。」と、ドアの外から再度催促の声が聞こえた。

ゲンジャクセツはゆっくりと頷き、立ち上がって出口へと向かった。

二歩進むごとに、後ろを振り返って目をやる。

だがその度に、シンギョクは起き上がらなかった。

ゲンジャクセツは京都に戻り、一方で武道協会による袁弘への虐待は止まることなく続いていた。

袁弘は何度も気を失ったが、都度燕江により無理矢理に目を覚まされた。

一日中の時間が経ったあとの夕方、燕江はゲンジャクセツからの電話を受け取った。

「この人には二度と会いたくない。」ゲンジャクセツは電話の中で冷たい声で言った。

「はい、お嬢さん。」と、燕江はすぐに応えた。

電話を切った後、彼は前にいる袁弘を見つめた。

「袁弘、あなたは解放されます。」燕江の体から、殺気が立ち上ってきた。

死の前に立つ袁弘は、驚くことに恐れることなく。

この生が死よりも苦しいという拷問に、彼は早く死んでしまいたいと願うばかりだった。

袁弘は死んだ、残された遺体すらない。

一日で、楚州はまるで一変したかのようだった。

武道協会の牢獄の中、全ての囚人たちはその知らせを得た。

「良かった、私はシン先生が死なないと知っていました!」

「ハハ、みんな、聞いたか?袁弘が解任されたらしいよ。」

「この何年間も袁弘この野郎は私腹を肥やし、権力を振りかざして人々を虐げてきた。もうとっくに解任されるべきだった!」

歓喜の声が牢獄内に響き渡った。

一方では、江古の顔色が暗いまでに陰鬱であった。

彼の心の中は恐怖でいっぱいであった。

京都の名家に対して江古は心の底から恐怖していた。

「家長、本当にゲン家が手を出すとは知らなかった…」忠叔が膝をつき、声をかすれるまで切々と懇願した。

江古の目に苛烈な光が走った。