第287章 苦悩の古太初

古太初の表情もやや不自然で、むしろかなり奇妙に見えた。

「秦さん、やっぱり私は行かないことにします」と姚青はぶつぶつと言った。

秦玉は古太初を見て、笑いながら言った。「古大師、彼を許してやってください」

古太初は軽くため息をつきながら言った。「あなたの顔を立てて、命だけは助けてやろう」

姚青はすぐに気づき、毛を逆立てた猫のように、恐怖に震えながら古太初を見つめた。

「あ...あなたが古太初なんですか?」姚青はごくりと唾を飲み込んだ。

古太初は無視して、手を振りながら言った。「出発しよう」

車は江北地区へと疾走していった。

江北地区は非常に広く、楚州はこれらの省の中で最も小さい。

浜県と楚州の間にはもう一つの省があり、そのため行程は非常に長かった。

秦玉と姚青は交代で運転し、昼から夜まで走り続け、翌朝になってようやく三人は浜県に到着した。

「ここが浜県か」浜県の領域に入ると、秦玉は深く息を吸い込んだ。

彼は神識を解放し、浜県の大半を感じ取った。

「さすがに浜県の霊気は、楚州をはるかに上回っているな」と秦玉は重々しく言った。

古太初は軽くうなずき、言った。「ここは薬神閣に近いから、霊気が自然と濃くなるのだ」

「薬神閣?」秦玉の瞳孔が縮んだ。

彼はその場所を知っていた。社会的地位が極めて高く、医術も天下一品と言われている。

多くの要人が薬神閣で診察を受けに来るという。

そして薬神閣の閣主は神龍のごとく姿を見せず、一目会うことさえ極めて困難だった。

「機会があれば、この薬神閣を訪れてみたいものだ」と秦玉は心の中で思った。

車は進み続け、すぐに古家の屋敷に到着した。

古太初の住まいは非常に趣があり、建物全体が中国様式の造りだった。

大門を開けて中に入ると、目の前には曲がりくねった小道が続いていた。

小道の両側には竹林が広がり、武侠小説のような雰囲気を醸し出していた。

「前がわたしの住まいだ」と古太初は遠くに見える屋敷を指さして言った。

秦玉は軽くうなずいて言った。「古大師のお住まいは本当に独特ですね。この時代にこのような家を持てるなんて、まさに至福です」

古太初は黙ったまま、両手を後ろに組んで、先に屋敷の中へと歩き出した。

古太初は江北地区の大師として、当然多くの弟子を持っていた。