秦玉が自信を取り戻したのを見て、顔お爺さんも安堵の笑みを浮かべた。
「顔お爺さん、お休みください」と秦玉は言った。
彼はこれ以上時間を無駄にしたくなく、早く閉関修行に入りたかった。
この期間、秦玉は大量の薬材を集めただけでなく、心境も大きく向上していた。
時間さえあれば、秦玉は早く自分の実力を高めることができるはずだった。
顔お爺さんは頷き、秦玉の時間を邪魔しないよう、部屋を出て行った。
夜も更けて静かだった。
長老府は月光に照らされ、辺り一面が明るかった。
その月光の下で、一人の青年が足を組んで座っていた。
彼の周りには、かすかな気配が漂っていた。それは最も純粋な霊気だった。
この姿勢のまま、一晩中座り続けた。
翌朝、秦玉は突然目を開いた。
薬神閣の薬師たちは、早くから朝食を持ってきていた。
桃子と姚青は狼のように食べていたが、秦玉には食欲がなかった。
「秦さん、少しでも食べてください」と姚青は口に食べ物を詰め込みながら言った。
秦玉は首を振り、長老府を出て、渓谷の楼閣へと向かった。
ここは、薬神閣閣主の住まいだった。
楼閣の下に立ち、秦玉は深く息を吸い込んで叫んだ。「秦玉、閣主にお目通りを願います!」
声は渓谷に響き渡り、秦玉は高くそびえる空中楼閣を見上げ続けた。
「秦長老、上がってきなさい」しばらくして、上から声が聞こえてきた。
秦玉は足を踏み鳴らし、すぐさま楼閣の上に飛び移った。
閣主の世話をする二人の薬師が、お辞儀をして言った。「閣主は部屋でお待ちです」
「ありがとう」と秦玉は丁寧に答えた。
そして、秦玉は大股で部屋に入った。
部屋には閣主の姿が見えなかった。
薄い帳の向こうに、閣主の影がぼんやりと見えた。
彼女は薬湯に浸かっているようで、帳越しでも妖艶な姿が透けて見えた。
「何の用?」閣主の声が帳の向こうから聞こえてきた。
秦玉は言った。「閣主様、取引をさせていただきたいのです」
「ほう?」閣主は少し驚いた様子だった。
水滴の音が響き、その後閣主は長衣を身にまとい、ゆっくりと歩み出てきた。
彼女の体には水滴が残り、薬の香りと体の香りが混ざり合って漂ってきた。
「私と取引?」閣主は眉を上げ、目に遊び心を宿した。
秦玉は頷いて言った。「はい、私の丹方を薬神閣に差し上げたいと思います」