江古の言う管嘉栄は、秦玉が見た人物とは、ほとんど別人のようだった。
やはり、世の中の悪人というのは、慈悲深そうな顔をしているものだ。
「このジジイ、よくも俺を騙そうとしたな」秦玉は目を細め、顔に冷たい色が浮かんだ。
江古は手を振って言った。「まあまあ、彼は江北武道協会の会長なんだから、誰も敵に回したくないでしょう」
秦玉は江古を横目で見て言った。「みんながそうやって我慢して甘やかすから、あいつは好き放題やってるんだ」
「今度こそ、あいつに代価を払わせてやる!」
そう言って、秦玉は江古に向かって言った。「噂を広めろ。半月以内に江北武道協会が俺の霊気を補填しなければ、後果は自分で責任を取れと」
江古は眉をしかめて言った。「秦さん、本当にそこまでするんですか?彼は武道協会の会長ですよ...」
「それがどうした?」秦玉は冷たく叱責した。
「武道協会の会長だからって黙って我慢するなら、私は権力に媚びへつらう輩と何が違う?」
このような風潮に、秦玉はもう十分うんざりしていた。
江古はそれを見て、仕方なく頷いて言った。「わかりました、秦さん」
江古を追い返した後、秦玉は次の予定を立て始めた。
今回楚州に戻る最大の目的は、前回省都で見つけたあの戦場だった。
あそこの陰気の濃度は想像を超えるもので、秦玉にとっては修行の絶好の場所だった。
今の秦玉は霊気では一歩も進めない状態で、そのため陰気に目標を定めた。
「大宗師が何人か増えればいいんだが」秦玉は顎に手を当てながら、心の中で思った。
秦玉は顔家の二人の頂点大宗師を吸収したが、その効果は確かに想像以上だった。
むしろ、大宗師を十人も吸収すれば、開光期、つまり武道界の大宗師に踏み込める可能性があった!
開光期に踏み込めば、秦玉はこの世のどんな大宗師も恐れる必要はない!
世家出身であろうと、隠世の弟子であろうと、もはや取るに足らない。
これこそが混沌体の底力だ!
とはいえ、大宗師がそう簡単に見つかるわけではない。
しばらく考えた後、秦玉は翌日に省都へ向かうことを決めた。
夜。
秦玉はベッドに横たわり、他の若者と同じようにスマートフォンを見ていた。
もちろん、秦玉が見ていたのはショート動画ではなく、武道フォーラムだった。
夜の八時、秦玉がちょうどスマートフォンを置いて寝ようとした時。