賀騰のあの比類なき速さは、確かに捉えがたいものだった。
秦玉は連続して押し返され、ほとんど反撃の余地もなかった。
しかし、賀騰が何度目かの攻撃を秦玉に仕掛けた時、突如として金色の大きな手が伸び、真っ直ぐに賀騰の首を掴んだ!
賀騰の表情が一変した!
なぜか、その瞬間、彼の速度が大幅に遅くなったようだった!
その遅くなった一瞬を、秦玉は見逃さず、首を掴む機会を掴んだのだ!
「十分に戦ったか?そろそろ私の番だろう?」秦玉は鋼鉄のような手で賀騰の首を掴みながら、冷たく言った。
賀騰は顔色を変え、抵抗しようとした瞬間、金色の手が激しく打ちつけられた!
「パン!」
大きな音とともに、賀騰の顔に強烈な一撃が加えられた!
秦玉の肉身の力はあまりにも強大で、この一撃で賀騰の口から血が溢れ出した!
「パン!」
さらにもう一発!
秦玉は力を込めて、片手で賀騰を掴みながら、もう一方の手で賀騰の顔を何度も打ちつけた!
一発、二発、三発…
「パンパンパン」という音が絶え間なく響き、見ている者たちは目を見開いて呆然としていた。
「これは…どういう状況だ?」
「半歩武侯が大宗師に空中で殴られている?」
「くそ…まるで子供を叩くようだ…」
皆は唾を飲み込み、目の前で起きていることが信じられないようだった!
「このまま続けば、賀騰は殴り殺されてしまう…」
「こんな純粋な肉身の力は、聞いたことがない…」
「まさか…これで終わりなのか?」
皆が驚愕している中、突然賀騰の体から黒い光が爆発的に放出された!
「もういい!」
一声の叫びとともに、恐ろしい気配が秦玉を押し返した!
賀騰の体は既に墨のような黒い光に包まれていた!
彼の肌の一寸一寸が最も純粋な黒色を呈し、夕陽の照り返しの中で不気味な輝きを放っていた。
「秦玉、お前だけが肉身が強いと思うな!」賀騰は口角の血を拭いながら、怒りを込めて言った!
「お前はただの大宗師だ、何の資格があって半歩武侯の私と戦う!」
「肉身で戦っても、私はお前を恐れない!」
賀騰の叫びとともに、彼の体の黒い光はさらに純度を増した!
遠く離れていても、賀騰の体から放たれる寒気を感じることができた!
秦玉はその黒い体を見つめ、冷笑して言った:「何だそれは?体に犬の糞でも塗ったのか?」