第545章 私の父は一体何者なのか

秦玉は思わず驚いた。

自分が膠着状態を打破する人物なのか?

しかし、今の秦玉は武侯にすらなっていないのに、どうやって京都武道協会と対抗できるというのか?

「武侯になった時の力をよく考えてみろ」と姜和は重々しく言った。

秦玉は突然、以前強引に武侯に踏み込んだ時の状態を思い出した。

あの力は、秦玉に絶対的な自信を与えた。

天下に自分に勝てる者はいないとさえ思えた!

十数人の武侯が相手でも、秦玉は全く眼中になかった!

「お前が武侯になれば、すべてが好転する」と姜和は言った。

「だが気をつけろ。奴らはお前を簡単に武侯にはさせない」

秦玉は深く息を吸い、「姜老前輩、分かりました」と言った。

姜和は頷いて言った。「若者よ、頑張れ」

秦玉は黙り込んだ。

理屈は分かっていたが、今の秦玉の心の中は顔若雪のことでいっぱいだった。

本来なら自分が連れて行くはずだった顔若雪が、なぜ京都武道協会に連れて行かれたのか、理解できなかった。

長老府に戻った秦玉の心は、なかなか落ち着かなかった。

「武侯になれば変化が訪れる...」秦玉は歯を食いしばった。

あれこれ考えたが、心の底では受け入れ難かった。

しかし今の秦玉には他に方法がなく、閣主からの知らせを待つしかなかった。

この一日、秦玉は全く修行する気になれなかった。

翌日。

閣主は人を遣わして京都武道協会に情報を探りに行かせた。

夕方になって、ようやく閣主が長老府にやって来た。

秦玉は慌てて立ち上がり、「閣主様、どうでしたか?」と尋ねた。

閣主は暫く黙り、それから言った。「京都武道協会の機密保持は厳重で、彼らの目的も分からなかった」

秦玉の表情は一層暗くなった!

閣主でさえ何の情報も得られないとは?どうしてこんなことに?

「だめだ!」秦玉は突然立ち上がった。

彼は冷たく言った。「すぐに京都武道協会に行って、事情を確かめなければ!」

閣主は秦玉を一瞥して言った。「お前が京都武道協会に行けば情報が探れると思っているのか?」

秦玉は口を開きかけたが、突然力が抜けたように感じた。

彼はベッドに崩れ落ち、どうすればいいのか分からなくなった。

「お前が武侯になってからにしろ。明日は私が直接京都に行って、もう一度情報を探ってみよう」と閣主は言った。