第647章 残忍な璩蠍

夏航は左右を見回し、顔には不安の色が満ちていた。

秦玉は傍らで冷たく言った。「私はあなたたちとは違う。少なくとも人間性はある。」

夏航は秦玉を見つめ、その眼差しには複雑な感情が宿っていた。

「娘よ、部屋に戻りなさい」夏航は小声で言った。

小さな女の子を部屋に帰した後、夏航は秦玉の前に歩み寄った。

彼が口を開こうとした瞬間、秦玉は突然、夏航の腹部を強く蹴り上げた！

その一撃で、夏航は吹き飛ばされた！

彼は思わず両膝を地面につき、その衝撃で地面が砕け散った！

「夏航、随分と大胆な奴だな」秦玉は冷たく言った。

夏航は地面から這い上がり、口元の血を拭いながら冷たく言った。「好きにすればいい」

「そうか！」秦玉は激怒し、大股で前に進み出ると、手を上げて夏航の顔を平手打ちした！

夏航は自分が秦玉の相手ではないことを知っていたので、抵抗を諦め、秦玉の暴力を甘んじて受けた。

秦玉は冷たい目で夏航を見つめ、言った。「お前は自分の娘の生死さえも顧みないのか。人間なのか？」

夏航は歯を食いしばって言った。「武道協会を信じることはあっても、お前は信じない！」

「そうか？」その言葉を聞いて、秦玉は冷笑を浮かべた。

この瞬間、秦玉は突然考えを変えた。

目の前の夏航を見つめながら、淡々と言った。「今ならお前を殺すのは造作もないことだ」

夏航は黙り込んだ。怖くないと言えば嘘になる。死の前では誰もが恐怖を感じるものだ。

「だが、私はお前を殺したくない」秦玉は淡々と言った。

「夏航、賭けをしないか」

夏航は秦玉を見上げて言った。「何を賭ける」

「京都武道協会が信頼に値するかどうかだ」秦玉はソファに座った。

彼は夏航のタバコを一本取り出して口にくわえ、そして淡々と言った。「京都武道協会に全てを話してみろ。彼らが本当にお前を助けるかどうか見てみよう」

夏航はその言葉を聞いて、軽く鼻を鳴らした。「秦玉、お前の目には京都武道協会がそんなにも情けないものに映るのか？」

「もし私が真実を話せば、彼らは必ず娘を救う方法を考えてくれる！」

「そうか」秦玉の口元に冷笑が浮かんだ。

「もし彼らが本当にお前を助けるなら、私は二度とお前に関わらない」秦玉は言った。

「だが、もし彼らがお前を助けなかったら、お前は私のために働くことになる。どうだ？」