第620章 陰気を吸収する

秦玉はそこに立ち、しばらく黙っていた。

しばらくして、秦玉は周りを見回して言った。「ここで一時的に閉関修行をするつもりだ」

八字髭は身震いして、つぶやいた。「ここで閉関?本当にいいのか?あの二体の男の死体がまた飛び出してくるかもしれないぞ?」

秦玉は笑って言った。「どうせ奴らを倒す方法は見つかったし、それに...ここの修行環境は私にとって、得難いものだ」

八字髭は白目を向けて言った。「お前が残りたいなら残ればいい。俺は付き合わないぞ。この化け物屋敷には一秒だって居たくない」

明らかに、先ほどの光景で八字髭は腰を抜かしていた。

秦玉は八字髭を引き止めて言った。「しばらくしたら、迎えに来てくれよ。でないと出られなくなる」

八字髭は白目を向けて言った。「安心しろ、俺も当分は屠仙教を離れないつもりだ」

「この屠仙教はこんなに大きいんだ。きっと何か宝物があるはずだ」八字髭は唇を舐めながら言った。

秦玉は頷いて、「わかった」と言った。

その後、彼は振り返って再び墓穴の奥へと歩き、あの窪んだ場所に戻った。

目の前の棺桶を見つめながら、秦玉は深く息を吸い込んだ。

否応なしに、ここの陰気は秦玉でさえ少し不快に感じるほどだった。

彼にはわからなかった。この陰気が棺桶から漏れ出ているのか、それともこの二体の男の死体から発せられているのか。

「ここの陰気を吸収すれば、私の実力はかなり上がるはずだ」秦玉は心の中で思った。

そう考えると、彼は直ちに三清古樹を取り出し、頭上に浮かべた。

そして、苦行が始まった。

周囲の陰気が秦玉の体に向かって押し寄せてきた。一筋また一筋と、ほとんど秦玉を凍りつかせそうなほどだった。

...

外の世界。

秦玉が去ってから一ヶ月半が経っていた。

人々は既に秦玉のことを忘れてしまったようだった。彼らにとって、秦玉は輝かしい流れ星のように、一瞬の光を放って消え去っただけだった。

「天才は短命なものだ。特に背景のない天才はな」そんな言論が出回っていた。

京都武道協会。

顔若雪の血は、相変わらず毎日採取されていた。

そして京都武道協会は毎日、顔若雪に至高丹薬と薬材を届けていた。

これらの薬材は、顔若雪の寿命を損なうことなく、毎日一定量の血液供給を確保できるものだった。