天守書とは、伝説に記された契約の書である。
八字髭の言う通り、この契約は破ることができず、さもなければ霊魂が危険にさらされる。
八字髭は天守書を二人の前に置き、へつらうような笑みを浮かべた。
「琴ばあや、秦玉のこいつが約束を守らないかもしれないので、特別に天守書を用意させていただきました」と八字髭はにやにや笑いながら言った。
そう言いながらも、皆の心の中では、この八字髭が明らかに秦玉を助けていることを知っていた。
もし秦玉が本当に負けたら、死が待っているのだから、天守書なんて署名する必要もない。
琴ばあやは顔を曇らせ、八字髭を睨みつけた。その眼差しは八字髭を生きたまま飲み込みたいかのようだった。
「私は天守書なんて署名する必要はない」と琴ばあやは冷たく言い放った。
「私は京都武道協会を代表している。決して約束は破らない」
秦玉は嘲笑った。「お前ら京都武道協会の言葉なんて、屁と変わらないぜ。署名する勇気がないなら、そう言えばいい」
琴ばあやの表情は一層冷たくなり、目を細めて言った。「秦玉、言葉遣いには気をつけなさい」
「無駄話はいい。署名する勇気があるのか、ないのか?」と秦玉は冷笑した。
「どうやら、お前の飼っているこの畜生にもあまり自信がないようだな。何だ?俺が一発で殺してしまうのが怖いのか?」
琴ばあやが言葉を発する前に、傍らの小黒は我慢できなくなった。
彼は大股で前に出て、冷たい声で言った。「俺が署名してやる!誰が誰を恐れているというんだ!」
八字髭はそれを見て、急いで言った。「はい、指を噛んで血を出し、この天守書に滴らせればいいだけです」
小黒は軽く鼻を鳴らし、指を噛もうとした時、琴ばあやが彼の手首を掴んだ。
「私がやろう」と琴ばあやは冷たく言った。
秦玉は嘲笑って言った。「誰がやってもいい、どうせ結果は同じだ」
琴ばあやは何も言わず、天守書の前に歩み寄り、自分の指を噛んだ。
一滴一滴の血が、彼女の指から天守書の上に滴り落ちた。
血が落ちた瞬間、天守書から濃い煙が立ち上った!
そして、その煙は微かな光となって、琴ばあやの眉間に向かって突き進んだ!
「ゴォン」
光が琴ばあやの眉間に入り込み、賭けの契約が正式に締結された。
「お前の番だ」と琴ばあやは目を細めて言った。