秦玉の言葉を聞いて、薛玉芝は淡く笑って言った。「焦ってはいけないことがあるのよ」
そう言って、薛玉芝は入り口の方を見て言った。「何かあれば、外の人に伝えてください」
秦玉はその様子を見て、仕方なく頷くしかなかった。
薛玉芝が去った後、秦玉と八字髭はしばらくここに滞在することになった。
彼は神識を解き放ち、周囲を覆い、薛家には多くの武者がいることを発見した。
しかし、これらの武者は全てが一流というわけではなく、むしろ実力の低い者が多かった。
例えば大宗師、さらには宗師もいた。
「薛家になぜ宗師がいるのだろう?」秦玉は眉をひそめた。
この薛家の上下の実力差は大きく、武侯がいるだけでなく、宗師までいた。
これは全く理にかなっていない。武侯を持つ家族は、決して宗師などを相手にしないはずだ。
もちろん、秦玉もそれ以上は考えなかった。結局のところ、宗師の境地にも天才がいる可能性があるからだ。
あっという間に夜になった。
しかし、薛家からは一向に動きがなく、秦玉に知らせに来る者もいなかった。
これは秦玉を少し焦らせた。
彼は立ち上がって入り口まで行き、外の人に丁寧に尋ねた。「薛おばさんは来られましたか?」
「いいえ」その人は無表情で答えた。
秦玉は不思議そうに言った。「私は薛家のために丹薬を煉丹しに来たのですが、なぜ薛家はずっと動きがないのでしょうか?」
その人は秦玉を一瞥し、嘲笑うように言った。「薛家のために煉丹する者はあなただけではありません。大人しく待っていた方がいいでしょう」
秦玉はようやく理解した。
なるほど、薛家は自分一人だけを招いたわけではなかったのだ。
あの実力の低い宗師の境地の者たちは、おそらく薛家が招いた煉丹師たちなのだろう。
「どうやらこの件は競争になりそうだな」秦玉は顎をなでながら、心の中でつぶやいた。
薬神閣は炎国最高の薬師と煉丹師を集めているが、世界全体を見渡せば、薬神閣だけが独占しているわけではない。
だから薛家が他の薬師を招いたのも、当然のことだった。
「同心丹...この種の丹薬について聞いたことがあるか?」秦玉は八字髭に向かって尋ねた。
八字髭は白い目を向けて言った。「お前が薬師だろう、なぜ俺に聞く?俺は同心丹なんて聞いたことがない」