第795話 漏網の魚

机の上に置かれた二百元を見て、秦玉は思わず笑みを浮かべた。

彼は楊菁を見上げて、疑問を持って尋ねた。「黄若旦那って誰？」

楊菁は唇を噛みしめながら言った。「黄若旦那は盛国の大きな世家の方です。あなたたちには手に負えない相手です。早く帰ってください。今度炎国に戻ったら、ご飯でもご馳走しますから！」

簡単な説明によると、この黄若旦那は地元の世家の人で、楊菁に目をつけ、強引に手に入れようとしているという。

この黄若旦那に対して、楊菁には何の対抗手段もなく、家族全員を炎国に帰し、自分一人でこの黄家に立ち向かうしかなかった。

秦玉が何か言おうとした時、ドアが開いた。

そして、一人の青年が二人を連れて外から入ってきた。

「ちっ」青年は入るなり、秦玉に視線を向けた。

「なんだ、俺がいない間に男を引っ張り込んでるのか？」青年は冷笑した。

楊菁は慌てて説明した。「黄若旦那、この方は私の友人で、父の病気を治療してくれた方です...」

黄若旦那は秦玉を一瞥し、冷笑して言った。「お前の父親を治療？俺をバカにしてるのか！」

そう言うと、黄若旦那は楊菁の顔に平手打ちを食らわせようとした！

秦玉は目を細め、即座に手を伸ばし、先に黄若旦那の顔を平手打ちした。

この一撃は力は大きくなかったが、それでも黄若旦那は吹き飛ばされた。

「よくも若旦那様を殴ったな、死にたいのか！」黄若旦那の側にいた二人のボディーガードが大声で叫び、秦玉に向かって突進してきた。

秦玉は一瞥もせずに、一撃で彼らの頭を粉砕した。

この光景を目にした黄若旦那の顔色が、一瞬にして真っ青になった！

「お前...お前、俺の部下に手を出すとは...」黄若旦那は目を見開いた。

秦玉は冷たい目で黄若旦那を見つめ、冷ややかに言った。「坊や、無理やり手に入れた瓜は甘くないぞ」

黄若旦那は地面から立ち上がり、冷たい表情で言った。「それがどうした、俺の周りには女なんていくらでもいる。彼女はその一人に過ぎない！甘いも甘くないも関係ない！」

秦玉は表情を冷やし、言った。「坊や、忠告しておくが、その考えは捨てた方がいい」

しかし黄若旦那は冷笑して言った。「お前は大変なことになったぞ。ここでは誰も我が黄家に逆らう者はいない！」