秦玉はこの本を手に取った。
本の表紙には簡素な大きな文字で「武道近代史」と書かれていた。
この本は印刷体で、後世の人々によって編纂されたものであることを示していた。
本全体はそれほど厚くなく、わずか数十ページほどだった。
他の三冊の本と比べると、この本は非常に薄かった。
「武道の歴史は近代になって衰退したようだな」と秦玉は首を振った。
彼はこれ以上時間を無駄にせず、最初のページを開いた。
まず目に入ったのは、著者の名前だった。
著者は山麓という名前で、それ以外の情報は何もなかった。
秦玉はこの本を持って片隅に座り、丁寧に読み始めた。
この本の内容は多くはないものの、記録は詳細だった。
二百年前の発展から二十年前まで、大小の出来事が漏れなく記されていた。
秦玉は丸三時間を費やしたが、自分の父親に関する事跡は見つからなかった。
「おかしいな」と秦玉は眉をひそめた。
顔お爺さんと古太初の描写によると、自分の父は一流の高手で、近代武道史に濃い一筆を残しているはずだった。
しかし秦玉は父親に関する記録が一切ないことを発見し、秦という姓の人物さえ見当たらなかった。
秦玉は暫く黙り込んだ後、さらに読み進めた。
この時すでに深夜で、一階の多くの世家の若様たちはすでに休んでいた。
しかし秦玉は依然として夢中で読み続けていた。
そのとき、秦玉は重要な情報を見つけた:
約百年前、この世には武聖が存在していた。
そしてその頃、京都武道協会はすでに形を成していた。
彼らは早くから当時のほとんどの武聖を掌握し、ほぼ武道界全体を支配していたと言える。
しかし武聖は当時の世界に極めて大きな影響力を持ち、一人の武聖が当時の国家の勢力図を変えることさえできた!
京都武道協会がこれほど強大な力を掌握していたことは、当然のことながら禍根となった。
この状況は七十年前まで続いた。
京都武道協会は、ますます強大になり、野心も膨らんでいった。
そんな重要な時期に、守道者を名乗る男が現れ、一気に京都武道協会の三十余名の武聖を斬り殺した!
ここまで読んで、秦玉は思わず息を呑んだ。
一気に三十余名の武聖を斬り殺す?どれほどの強大な力なのだろうか!
「この守道者とは...一体何者なのか?そして守ろうとした道とは何なのか?」秦玉は疑問を抱いた。