第870章 武聖の前兆!

松にいは何かの儀式を始めているようだった。

空一面の雪が、ある一点に向かって集まっていく!

突風が吹き荒れ、雪は瞬く間に視界を遮った。

秦玉は冷たい目でその場所を見つめていた。雪が徐々に凝集し、巨大な人影を形作っていく!

その人影は寒気を吸収しているかのようで、松にいの操りの下、ますます巨大で堅固になっていった!

「神府様、彼を殺せ!」

松にいの怒号とともに、神府と呼ばれる雪人は、奇妙な力を纏ったかのようだった!

神府は突如として目を開いた。その瞳は、暗い青い光を放っていた!

その身から放たれる強大な威圧感は、思わず頭を下げて拝みたくなるほどだった!

秦玉は動揺せず、無意識に二歩後退しながら、冷たい目でこの神府を見つめていた。

どの宗門にも、宗門を守るための底力がある。

この神府は明らかに寒宮の底力だった!

「秦玉、お前は死ぬ!」松にいは口を歪め、残忍な笑みを浮かべた。

秦玉は慎重にこの神府を見つめ、全身の霊力を極限まで調整した。

その神府の動きは、この天地を揺るがすかのようだった!

ただ一歩踏み出しただけで、周囲の雪が無数に秦玉へと襲いかかってきた!

この手法は、先ほどの松にいの術と共通点があったが、この神府の力はより強大だった!

襲いかかってくる雪を見て、秦玉の体から金色の光が爆発的に放たれた!

幾つもの炎が、素早く金色の光と一体化した!

これは霊火だ!霊火の加護があれば、秦玉はこの極寒の術法など恐れる必要がなかった!

殺伐の力を帯びた雪は、この霊火に阻まれ外に留まり、パチパチという音が絶え間なく響いたが、体には侵入できなかった。

「轟!」

その時、神府が動いた!

何気なく放った一撃で、周囲の雪が即座に集まり、まるで爆弾のように秦玉に向かって打ち込まれた!

それだけでなく、秦玉の足元の地面までもが爆裂し始めた!氷が溶けた水が、しっかりと秦玉の体を捕らえた!

神府の一撃が、激しく打ち下ろされた!

秦玉は油断できず、避けようとしたが、両足はしっかりと拘束され、まったく動けなかった!

「轟!」

この一撃は、まともに秦玉の体に命中した!

空一面の雪が、さらに秦玉を覆い尽くした!

その極寒の冷気は、なんと秦玉の体の炎を消し去った!