その時。
屠仙教の島の下。
千鶴二老がそこに立ち、冷たい目でその入り口を見つめていた。
「突然現れた伝送陣、きっとあの秦玉の仕業だ」と千鶴二老は重々しく言った。
「どうやらこの小僧の考えはまだ甘いようだな。こんな入り口を残すとは、我々に道を示しているようなものだ」
二人は目を合わせ、この入り口に踏み入れようとした。
「待て」その時、千鶴二老の中の長眉が突然足を止めた。
もう一人の白髭の老人は眉をひそめて「どうした?」と尋ねた。
長眉は重々しく言った。「あの小僧は狡猾だ。わざと入り口を残したのは、罠かもしれん」
白髭は少し黙った後、「では、どうする?」と言った。
「こうしよう。お前はここで待っていろ。私が偵察に行く」と長眉は言った。
しかし白髭は長眉を制し、重々しく言った。「私が行こう。もし何かあっても、私の方が逃げ出せる可能性が高い」
白髭は十八字訣の中の風字訣を極めており、その速さは確かに格段に上だった。
「よし、気をつけろよ」と長眉は頷いた。
その後、白髭は伝送陣に踏み入り、屠仙教の中へと入った!
屠仙教に足を踏み入れた瞬間、白髭は何か異様なものを感じ取った。
この場所の雰囲気は極めて不気味で、空気中には冷たい気配が漂っていた。
見渡すと、屠仙教全体が傷だらけで、誰かが来た形跡があった。
「これは一体どういうことだ?」白髭は眉をひそめた。
彼は神識を解き放ち、秦玉を探そうとした。
しかしその時、一つの人影が突然白髭の前に現れた。
その人物は若く、黒い衣を身にまとい、全身から強い冷気を放っていた。
「お前は何者だ?」白髭は表情を変え、冷たく叱責した。
その青年は眉を上げ、淡々と言った。「誰に言われて屠仙教に来た?」
白髭はその言葉を聞いて、冷笑して言った。「私は京都武道協会の者だ。どこへ行くかは勝手だ!お前如きが問い質す資格はない!」
「京都武道協会か...確かにここ数年は相当強くなったな」青年は独り言を言った。
「だが...私から見れば、たかが知れている」
白髭は叱責した。「無礼者!若造が、よくもそんな大口を!」
青年の顔から笑みが徐々に消えていった。
「虎のいない山で猿が王を気取る、半歩元嬰如きが屠仙教で暴れまわるとは、世も末だな...」青年は低く呟いた。
「元嬰?!」