第883章 再び顔家荘園へ

危険がじわじわと近づいていたが、秦玉はまったく気にしていなかった。

武聖が現れない限り、誰が来ても秦玉は恐れることはなかった。

京都に到着すると、顔若雪は突然尋ねた。「なぜ京都に来なければならないの?」

秦玉は少し考えてから言った。「今はまだ君を誰からも守れる力はないけど...君と普通のカップルの生活を送りたいんだ。」

二人が付き合い始めてから、一緒に過ごす時間は極めて少なかった。

今やっと堂々と一緒にいられるようになり、秦玉はこの機会を逃すわけにはいかなかった。

空港からタクシーを拾い、顏家荘園へと向かった。

空港での出来事だけで、無数の人々が写真を撮り、それらはネット上に広まっていった。

この時、韓威もネット上に広まる様々な写真を目にしていた。

深い無力感が彼の胸を満たしていた。

...

すぐに、秦玉は顔若雪を連れて顏家荘園に到着した。

顏家荘園は相変わらず厳重な警備が敷かれていた。

数十メートル先からは、部外者の接近は許されなかった。

顔若雪が去って以来、この荘園は顔四海のものとなり、章音が常駐していた。

顏家荘園に戻ってきた顔若雪は、言い表せない感情に襲われた。

過去の出来事が次々と心に浮かび、あの幸せな日々は二度と戻らないように思えた。

「止まれ!ここは顏家荘園だ。誰も近づくことはできない!」すぐに二人のボディーガードが駆けつけてきた。

しかし、近づいてきた彼らはその場で立ち止まった。

「お...お嬢様?」そのボディーガードは震える声で言った。

顔若雪は穏やかに微笑んで言った。「どうしたの?私が分からないの?」

「い...いえ、そんなことは。」ボディーガードは手を振った。

「それなら早く道を開けなさい。」顔若雪は冷静に言った。

ボディーガードの顔に困惑の色が浮かんだ。

「お嬢様、顔社長から誰も近づけさせないように言われているんです。私は...」ボディーガードは言葉を詰まらせ、どうしていいか分からない様子だった。

傍らの秦玉は我慢できずに冷たく叱責した。「ここは若雪の家だ。顔四海に何の関係がある?彼に文句があるなら、私に言わせろ。」

ボディーガードはそれを見て、もう何も言えず、ただ頷いて道を開けた。

秦玉と顔若雪は大股で顏家荘園に入っていった。