危険がじわじわと近づいていたが、秦玉はまったく気にしていなかった。
武聖が現れない限り、誰が来ても秦玉は恐れることはなかった。
京都に到着すると、顔若雪は突然尋ねた。「なぜ京都に来なければならないの?」
秦玉は少し考えてから言った。「今はまだ君を誰からも守れる力はないけど...君と普通のカップルの生活を送りたいんだ。」
二人が付き合い始めてから、一緒に過ごす時間は極めて少なかった。
今やっと堂々と一緒にいられるようになり、秦玉はこの機会を逃すわけにはいかなかった。
空港からタクシーを拾い、顏家荘園へと向かった。
空港での出来事だけで、無数の人々が写真を撮り、それらはネット上に広まっていった。
この時、韓威もネット上に広まる様々な写真を目にしていた。
深い無力感が彼の胸を満たしていた。
...
すぐに、秦玉は顔若雪を連れて顏家荘園に到着した。
顏家荘園は相変わらず厳重な警備が敷かれていた。
数十メートル先からは、部外者の接近は許されなかった。
顔若雪が去って以来、この荘園は顔四海のものとなり、章音が常駐していた。
顏家荘園に戻ってきた顔若雪は、言い表せない感情に襲われた。
過去の出来事が次々と心に浮かび、あの幸せな日々は二度と戻らないように思えた。
「止まれ!ここは顏家荘園だ。誰も近づくことはできない!」すぐに二人のボディーガードが駆けつけてきた。
しかし、近づいてきた彼らはその場で立ち止まった。
「お...お嬢様?」そのボディーガードは震える声で言った。
顔若雪は穏やかに微笑んで言った。「どうしたの?私が分からないの?」
「い...いえ、そんなことは。」ボディーガードは手を振った。
「それなら早く道を開けなさい。」顔若雪は冷静に言った。
ボディーガードの顔に困惑の色が浮かんだ。
「お嬢様、顔社長から誰も近づけさせないように言われているんです。私は...」ボディーガードは言葉を詰まらせ、どうしていいか分からない様子だった。
傍らの秦玉は我慢できずに冷たく叱責した。「ここは若雪の家だ。顔四海に何の関係がある?彼に文句があるなら、私に言わせろ。」
ボディーガードはそれを見て、もう何も言えず、ただ頷いて道を開けた。
秦玉と顔若雪は大股で顏家荘園に入っていった。