第31章 アンチ!

藤本凜人は病院で救急の天才と称賛されたことを思い出し、興味深げに頷いた。「うん」

しかし、二人がロビーに入るや否や、助手が近づいてきて、声を落として言った。「藤本社長、本家から人が来ました。今、最上階に向かっています」

藤本凜人は顔色を変え、大股でエレベーターに向かいながら、険しい表情で尋ねた。「いつ来たんだ?」

「5分前に上がったばかりです。ここは藤本グループの施設ですから、受付やロビーマネージャーでは止められませんでした」

「無能め!」

藤本凜人は怒鳴りつけると、すぐにエレベーターに乗り込んだ。

一方、倉田健祐はため息をつくと、上階の出来事には手出しできないと判断し、一人で監視室に向かった。

最上階のプレジデンシャルスイートで。

藤本建吾は拳を握りしめ、目に涙を浮かべながら目の前の数人を見つめていた。