大型SUVを、寺田凛奈はスポーツカーのように運転していた。
「キッ!」
車は校門の前で止まり、彼女は車を降りて、大股で幼稚園の中へ歩いていった。
今日、芽を迎えに来た福山先生が、そこに立っていた。20代の若い女性で、今は不安そうだった。
初日に子供を学校に送り出したばかりなのに、何かあったとは。保護者はさぞ心配していることだろう。
彼女はそう考えながら近づいていった。「芽ちゃんのお母さん……」
寺田凛奈は彼女の言葉を遮って尋ねた。「子供たちは皆大丈夫ですか?」
福山先生:?
彼女は呆然と答えた。「……はい」
寺田凛奈は先生について中に入りながら尋ねた。「では先生方も皆大丈夫ですか?」
「……はい、大丈夫です」
寺田凛奈は一瞬驚いた。「じゃあ、芽が誰かを殴ったんですか?」
彼女は反射的に校門の方を見た。「門衛さん?」