第80章 木田柚凪!!

この言葉が出ると、みんなが振り向いた。

渡辺光春は突然、顔が真っ赤に染まり、施しを受けているような気分になった。

石丸慧佳はさらに彼女を放っておかず、続けて口を開いた。「でも、お母さんにもう一度レッスンを予約してもらえば、あなたも授業に参加できるわよ!そういえば、お母さんは人脈があるの?うちの母に紹介してもらおうか?」

渡辺家が没落した後、渡辺奥様の石丸和久も地位が下がった。

石丸家はこれに対して助けるどころか、さらに追い打ちをかけていた。

たとえば今この瞬間、石丸慧佳の言葉は明らかに全員に、石丸和久は以前は石丸家の娘だったが、今では権力も人脈も石丸家に及ばないことを伝えていた。

渡辺光春は拳を握りしめ、できるだけ落ち着いた様子を装った。「結構です。もともとダンスにそれほど興味がなかったので……」