第106章 キャンディー・スイートがトレンド入り~

物業?

  物業は毎年挨拶に来るけど、大体夜だよね。昼間に来て邪魔するわけないでしょ?

  それに、もうすぐ12時になるのに、寺田さんはまだ来ないの?

  もしかして、来る気がないのかな?

  この考えが頭をよぎると、藤本凜人の胸の内に急に苛立ちが湧き上がった。彼は突然立ち上がり、細長い目で玄関をじっと見つめ、目尻の涙ぼくろには冷たさと不満が滲んでいた。

  彼のその様子を見て、藤本悠佑はスマホでキングオブグローリーをしながら尋ねた。「兄さん、誰か待ってるの?」

  藤本凜人は考えもせずに否定した。「いいや」

  自分が女に近づく機会を与えたのに、彼女がその機会を掴まなかったのは彼女の損失だ。自分には何の関係もない。

  明らかにあの女が自分に惚れているのに、どうして今、不安になっているのは自分なんだ?