第29章 救急処置！

藤本凜人は重々しい声で尋ねた。「何があったんだ？」

倉田健祐は説明した。「お客様がロビーで倒れられたんです。ロビーマネージャーの話では、すでに息をしていないそうです。119番に電話をしましたが、ちょうど近くに医者がいて、今救命処置中です」

一流ホテルに宿泊する人は、金持ちか身分の高い人ばかりだ。

ここで事故が起これば、ホテルにも責任がある。だから藤本凜人はすぐに口を開いた。「見てきてくれ」

「はい」

倉田健祐が部屋を出ると、藤本凜人は書斎から出てきて、息子がリビングにいないことに気づいた。彼は尋ねた。「建吾はどこだ？」

家政婦が答えた。「坊ちゃまは隣に行かれました」

藤本凜人：「？」

心の底に何か良くない予感が生まれた。

隣の部屋。

藤本悠佑はソファーに山積みになった服を指さして言った。「お兄ちゃん、これ全部君のために買ったんだ！」