第112章 本当に坊ちゃまだった!

WeChat上で、彼は寺田芽の情報を見つけ、彼女を友達に追加しようとした。

  本来なら、彼が相手を削除して芽の一方的な友達になっているので、直接追加すれば成功するはずだった。

  しかし、追加ボタンを押すと、WeChat は次のように表示された:友達申請を送信しました。相手の承認を待っています。

  藤本凜人:?

  これは、小娘が彼も削除したということか?ちっ、かなりのわがままだな。

  「芽はきっと怒っているんだ」

  突然、幼い声が耳元で聞こえた。彼は驚いて振り返ると、藤本建吾がソファの後ろに立って、彼のスマホを覗き込んでいるのが見えた。

  藤本凜人は不自然に咳払いをし、スマホを投げ出して無造作に言った。「怒るなら怒れば良い。勝手にさせておけ」

  藤本建吾はしばらく黙った後、ため息をついて言った。「パパ、僕からのアドバイスだけど、彼女を機嫌よくした方がいいよ。さもないと後悔することになるよ」

  後悔?

  藤本凜人は嘲笑的に笑った。「俺が何を後悔するんだ?他人の娘を、なぜ俺が機嫌を取る必要がある?」

  藤本建吾:「本当に?」

  「ああ、本当だ」

  藤本建吾は彼の頑固さを見て、心の中で黙って蝋燭を立てた。

  正直に言えば、暴君は良いパパだ。

  今の世の中で、自ら子供の面倒を見る父親が何人いるだろうか?

  妹も彼のことが好きなのに、今暴君は柔らかくて香り立つ妹を怒らせてしまった。本当に自滅行為だ。

  彼は黙って暴君が自分で自分の顔を打つのを見守ることにした!

  藤本凜人は心の中でフンと言った。

  彼は娘が欲しかったが、寺田凛奈と他人の娘である必要はない。

  それに、彼女を甘やかすくらいなら、柊花を甘やかした方がましだ。

  結局のところ、彼女は可愛くて素直だ。寺田芽のような気の強い子とは違う。

  そう考えていると、藤本凜人は昨日柊花のライブを見逃したことを突然思い出し、なぜか衝動的にスマホでライブ配信ルームを開いた。

  一方、倉田健祐はネットで今泉唯希が言及したトレンドを検索していた。