第132章 ママ、置いていかないで……

「お嬢ちゃん!お嬢ちゃん?」

幼稚園は混乱していた。木田柚凪は真由美を抱きかかえ、直接保健室へ走っていった。走りながら彼女を呼んでいたが、真由美はまったく反応を示さなかった。

木田柚凪の心臓は真っすぐに跳ねているようだった。

この小さな命が彼女の腕の中にあり、なぜか涙を流したくなるような衝動に駆られたが、考えすぎないようにした。保健室に着くと、校医の診察で過敏症であることがわかり、すぐに病院へ搬送された。

木田柚凪が最初に彼女の失神に気づいたため、病院で医師に状況を説明する必要があり、同行することになった。

救急外来を受診し、医師の診察を受けた後、医師は眉をひそめて木田柚凪を見つめ、叱責した。「子供がマンゴーにアレルギーがあるのに、母親としてどうしてこんなに不注意なんですか?」

木田柚凪は一瞬戸惑った。

傍らにいた保健室の同僚が彼女のために説明しようとしたが、医師は忙しそうに直接言った。「何をぐずぐずしているんですか?早く点滴に連れて行きなさい!マンゴーアレルギーは深刻なんですよ!」

深刻だと聞いて、保健室の先生も焦った。

真由美は寺田家の権力者の命の綱だ。もし彼女が学校で何か起こったら、どうすればいいのだろうか?

医師が薬を処方し、看護師が彼らを隣の点滴室に案内した。病院のベッドが不足しているため、木田柚凪が彼女を抱きかかえたまま、点滴室の椅子に座ることになった。

まだ寒い季節で、真由美の体も弱っていた。液体が手から彼女の体内に入っていき、小さな手を冷たくしていた。

木田柚凪は彼女の小さな手を握り、自分の体温で温めた。

一緒に来た福山先生は目を赤くして、行ったり来たりしながら自責の念に駆られていた。「真由美を見守れなかった私が悪いんです。でも、私たちの学校にはマンゴーなんてないはずなのに、真由美はいったいどこで食べたんでしょう!」

彼女が話している間、保健室の先生も心配そうな表情を浮かべていた。

木田柚凪は子供の顔をじっと見つめていた。

彼女自身もマンゴーアレルギーがあったが、まさかこの子とこんなに縁があるとは...

そのとき、急ぎ足の足音が聞こえてきた。二人の人物のようだった。すぐに男女が入り口に現れた。