「前回?」
寺田凛奈は再び眉を上げた。彼女は藤本奥様の手術をした前回のことを覚えていなかった。
今泉唯希は彼女のその様子を見て、眉をひそめた。「あなた、本当にそんなに欲張りなの?Antiの手術を見る人が違えば、異なる感想や学びがあるって聞いたわ。寺田さん、そういう機会は他の人にも譲るべきよ。」
彼女が話している間、加納主任の助手が近づいてくるのを目の端で捉えると、態度を変えた。高慢な態度から普段のような優しい様子に変わり、ため息をついた。「もちろん、私は自分の資格を主張しているわけじゃないわ。私はもう手術室に入る資格があるもの。ただ、寺田さんがこういったことで加納主任に迷惑をかけるべきじゃないと思って。私たちが手術室に入れるのは厳選された結果なのよ。あなたがこうして入れば、入れない人が出てくる……」