第167章 当時の真相!!

優しく豊かな声の中に、かすかな息遣いが混ざっていた。まるで走ってきたかのようだった。

皆が入り口の方を見ると、臼井陽一が入ってきた。彼はグレーのスーツを着ており、春風のように心地よい雰囲気を醸し出していた。

彼の胸元はわずかに息を切らしており、言葉を言い終えると、その深く、少し憂いを帯びた目で寺田凛奈を見つめ、彼女に礼儀正しく穏やかに頷いた。「生配信を見て急いで来ました。あなたの大切な時間を邪魔するところでした」

寺田凛奈:?

これは婚約者の臼井真広の叔父さんじゃないの?

前回まだ彼女と婚約を履行する予定だと言っていたのに、ここに何しに来たの?

そう考えていると、臼井陽一が寺田健亮の方を向いた。寺田凛奈に対する態度とは全く異なり、声にも嫌悪感が込められていた。「寺田さん、あなたは当時のことを誰も真相を知らないと本当に思っているのですか?」