寺田真治は足を止め、突然フロントマネージャーを見つめた。「邪魔にならない?」
フロントマネージャーは人を見る目があり、寺田真治の様子を見て即座に何かを理解し、直接口を開いた。「はい、先ほど堀口さんが、入り口にいるあの女性を入れないでくれと言われました。これは全てあなたの意向だとも。」
彼は頭を下げ、功を誇るかのような口調で実は告げ口をしていた。「私たち五光十色クラブには、そのような規則はありません。しかし堀口さんがあなたの指示だと言われたので、もちろん従わざるを得ませんでした。」
彼の指示……
寺田真治の穏やかな表情が冷たくなった。彼は淡々と口を開いた。「彼女はまだ寺田夫人ではない。」
フロントマネージャーは恐れているふりをした。「寺田さん、大変申し訳ありません。私はずっと堀口さんと呼んでいたのですが、今日彼女が呼び方を変えるよう…」