第272章 誕生日プレゼント

「……」

「……」

「……」

宴会場全体が静まり返り、全員が信じられない様子で彼らを見つめた。

石丸和久と渡辺光春は、藤本さんがこのような場で二人の関係を明かすとは全く予想していなかった。

正直なところ、30年前から渡辺家は藤本家に及ばなくなっていた。渡辺詩乃が世間の注目を集めたのは、彼女自身が十分に優秀で、藤本家や寺田家が彼女を娶ることを誇りに思えるほどだったからだ。

しかし今の渡辺家は没落した名家に過ぎず、しかもさっきのような状況で……石丸和久と渡辺光春は目を合わせた。

渡辺光春は石丸和久に近寄り、小声で話し始めた。「お母さん、藤本さんは凛奈姉さんのことを本気で考えているわ」

本気でないわけがない。

二人の子供の母親なのだから!

石丸和久は自分の子供を過小評価したことはなかった。彼女は口を開いた。「でも、凛奈がちょっと不満そうに見えるわね」