第284章 寺田家へ！！

話が終わらないうちに、渡辺由佳は彼女の言葉を遮った。「何を心配しなくていいの？彼女は田舎出身で、見識が狭いわ。藤本家に嫁いで、その豪華さに目がくらんだら、もし将来、気が狂って何かしでかしたら、巻き添えを食うのは私たち渡辺家よ！だからこそ、先に言っておかなきゃいけないの。心を歪めちゃダメよ！」

皆：「……」

渡辺老夫人は少し黙ってから、何も言わなかった。

寺田凛奈は相変わらず無関心な様子だった。

石丸和久は彼女に言葉を詰まらせられた後、これらの言葉を聞いて、ただ笑うだけで何も言わなかった。

三人の様子がとても奇妙なのを見て、渡辺由佳は尋ねるしかなかった。「何を笑っているの？」

石丸和久はようやく口を開いた。「何でもないわ。ただ、あなたの言うような状況は絶対に起こり得ないと言いたかっただけよ。なぜなら、藤本幸大は凛奈の息子でもあるからね。」

「……」

渡辺由佳は一瞬呆然とした。「結婚したら、確かに彼女の息子になるわね。でも、本当に自分の息子として扱わないと。人の心は肉でできているのよ。あなたが彼に優しくすれば、大きくなったら、たとえ実の母親が現れても、あなたの方が親しいはずよ……」

石丸和久はため息をついた。「そういう意味じゃないの。凛奈が幸大の実の母親だって言ってるのよ。」

「……」

渡辺由佳は呆然として、思わず口を開いた。「どうしてそんなことが？」

石丸和久は説明した。「凛奈は当時、双子を産んだの。一人は芽で、もう一人が幸大よ。最近、彼らは再会したわ。ただ、まだ結婚していなくて、芽の安全が私たちの家では保証できないから、外部には公表していないだけよ。」

渡辺由佳：！！！

彼女は突然立ち上がり、信じられない様子で寺田凛奈を見た。「じゃあ、あなたと密通していたその野男は、藤本凜人だったの？」

寺田凛奈：「……」

石丸和久も口角をピクリと動かした。

渡辺由佳は今や寺田凛奈を違った目で見ていた。「あなた、とんでもない幸運を掴んだのね！私が言ったでしょ、藤本凜人があなたなんかに目をつけるはずがないって。こういう理由だったのね！」

皆：「……」

全員が沈黙していたその時、入り口から声が聞こえてきた。「先生、奥様、寺田さんがいらっしゃいました。」