寺田洵太は呆然とした。
彼は信じられない思いで、その人たちの会話を聞いていた。
「でも、大師姉は本当にすごいよね。辻本凌也を相手にしても一撃で勝っちゃうんだから」
がさつなレイエルがまだ小声で仲間と話し続けていた。「私は大師姉が少なくとも数手は使うと思っていたわ。それに、師匠が私に大師姉の代わりをさせた時、私は自分と大師姉との差がそれほど大きくないと思っていたけど、まさかこんなに大きいとは。今では本当に大師姉に心服しているわ!」
「私もよ。大師姉は本当に凄すぎる!大師姉の目には、おそらく大師兄だけが対等な相手に見えるんじゃないかしら?」
「大師姉が大師兄と対決したら、どっちが強いと思う?」
「……」
寺田洵太は頭の中がぐるぐると回っているように感じた。
彼は無意識に028号の腕前を思い出した。確かに凄かった。さっきまで彼女が自分の世界第三の地位を脅かすのではないかと心配していたのに、まさか彼女が自分の憧れの瀬戸家の大姉だったとは。
でも、もし彼女が大師姉なら、なぜ彼とチームを組んだのだろう?
彼は相手が自分の能力を評価してくれたのだと思っていた!二人を引き連れて決勝まで進み、自分の光を彼らに分け与えようと考えていたのに!
彼はそう考えながら、つい口に出してしまった。「じゃあ、大師姉がそんなに凄いなら、なぜチームを組む必要があるんですか?」
数人が噂話に夢中になっていて、この質問が他人からのものだとは気づかず、すぐに答えた。
「そうだよね。あの琉心は一体どんな運を持ってるんだろう。まさか大師姉とチームを組めるなんて。でも彼らのチーム名はあまりにも弱すぎる。世界第三…大師姉は一位か二位でしょ?」
「そう、あの琉心は大師姉の順風に乗って点数を稼げるなんて、本当に快適すぎるよね!」
「残念ながら、他の人は知らないんだよね」
「そういえば、028号が琉心のチームに入れて運が良いって言ってる人もいるけど、これは今年聞いた中で一番のジョークだよ!」
「大師姉はきっと面倒くさがってるんだよ。チームを組んで点数を稼げば時間を半分節約できるからね。絶対チームを組むよ」
寺田洵太:!!!